信じない

 

 

 

手作りの弁当って、温かみがありますよね。

手作りという響きがもういい味出てる。

 

 

学生時代、母親が弁当を作ってくれていました。

手作りのお弁当ですよ、ありがたいですよね。

 

おかずの割り合いは、半分が夕飯の残り物、半分が冷凍食品でした。文句を言うとすれば質素だなと思っていました。ごめんねオカン。

 

おかずだけじゃと言い、いつからかデザート用の果物を入れてくれるようになりました。

唯一の彩りが加入しました。やったね!!

 

 

私は、最後の最後に食べる果物が一番好きでした。

最後のシメは果物。登山で言えば頂上ですよ。

達成感とともに、甘い果物をいただくのが密かな楽しみで気分はウキウキでした。

 

 

ある日、最後のシメの果物がパイナップルでした。

パイナップルはよくシメに使われていたので、「今日はパインか。めちゃ甘いといいな〜」

程度で特に何も思わずに、食べ始めました。

 

 

スーパーで安く売られているカットパインが4切れくらい入っており、1切れを食べた時に、「あれっ?何か味が違う?でも甘いし、まあいっか」と。

そう。味がいつもと違ったのです。

いつものパインの味ではないのにもかかわらず、私の舌は少し機能性が悪いみたいなので、気にせずそのまま食べ続けました。

 

甘いから、まあいっか

甘いという判断はできましたが、ものすごい異常であったという判断は残念ながらできませんでした。

 

 

そして、残りのパインも食べて完食しました。

パイン以外は美味しかったです。

パインについては少しの違和感を感じたままでした。

 

「パイナップルの味がいつもと違う。でも甘いからいいや」

 

「あのパイナップルはどこ産なんだろう。変わった味がしたな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日。

シメの果物がパインでした。

 

「また今日もパインか〜」

少しだけガッカリしましたが、果物を食べられるだけ贅沢だよなと思い食べ始めました。

 

パクッ

 

「ん??また、味が違う?」

 

「この味って何なんだ?」

 

昨日と同じ味がしました。明らかに変な味です。

 

甘いのですが、さすがに味が変わっているので、箸で残りのパインをツンツンしていました。

 

「え?何、このふわふわ…」

「緑、白…」

 

何か得体の知れない、わた毛のようなものを発見しました。

色も、緑と白が混ざっていて、ふわふわしていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カビ」

 

 

 

「カビだよね、確実にカビだよね」

 

 

 

最悪の気分ですよ。悪いほうの気分転換。

もう、頂上から一気に地上、いや地獄まで振り落とされた気分ですよ。

 

 

「お母さん…」

 

「お母さん…」

 

なんで〜?

 

賞味期限は〜?

 

 

もう、頭は疑問だらけで溢れていました。

 

あと、この母親は信じないと誓いました。

 

 

 

 

カビたパイナップルを食べた

という事実を受け止めたくないあまりに

 

「いやだ!あれは幻だ!」

「あんな味のパインもあるよね!あるある!」

 

頑張っていました。

 

無理やりに、頑張りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして母親に事実確認をしました

 

 

「あー、やっぱり?」

 

「いけると思ったんよねー」

 

「賞味期限?知らんよ、だいぶ前やったと思うよー」

 

 

 

これ、めちゃくちゃ笑って言われた。

 

 

 

 

 

 

 

こわっ。死なせる気かよこの母親は。

 

 

 

もう、手作り弁当は作らないでください。

 

 

 

 

みなさんも気をつけてくださいね。

私みたいに、カビを食べちゃわないように確認してから食べ始めてくださいね。

無いと思いますが。絶対にあったらダメなんですよ?

 

 

 

 

 

 

このような体験を通して、いろんなことを学びました。

 

お腹は壊さなかったので、私のお腹は意外に強いんだなと思いました。

 

死ぬこと以外、擦り傷だなと思いました。

 

そして母親は信じないと誓いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パイナップル〜

カビたパイナップル〜

パイン〜パイン〜

カビ〜カビ〜

 

 

 

 

 

もう、母親は信じない